日本比較教育学会第60回大会公開シンポジウムのお知らせ(2024年6月30日(日))

日本比較教育学会より、下記公開シンポジウムのご案内がありました。ご関心のある方は奮ってご参加ください。

日本比較教育学会第60回大会公開シンポジウム
個と世界のつながりを再考する−コンヴィヴィアリティ(自立共生)を参照軸として−」

司会:
服部美奈(名古屋大学)

報告者:
橋本憲幸(山梨県立大学)コスモポリタニズムは個と世界を再接続できるか−マーサ・ヌスバウムの思想から
工藤瞳(慶應義塾大学)フレイレとコンヴィヴィアリティ−フレイレの思想・実践の限界から見えてくるもの
山田肖子(名古屋大学)循環し続ける個と世界の中で知を考える−アフリカ伝統社会の認識論とコンヴィヴィアリティ

指定討論者:
生澤繁樹(名古屋大学)

概要:
世界の分断と相互不信感が煽られる現代のなかで、それを乗り越えるような個のあり方や、個と世界とのつながりが改めて問われるようになっている。比較教育学は、多様な民族、宗教、政治体制、歴史を背景とする世界の国・地域の教育に関する研究や、教育の国際化・グローバル化といったテーマを研究することを通して、教育という視点から、個のあり方や、個と世界のつながりに関する知見を蓄積してきた。現在の私たちの世界では、多様化と世界標準化が同時進行している。多様な価値観や生き方を包摂する世界が構想される一方で、グローバリゼーションが生活の隅々まで浸透し始めた2000年代以降、教育の分野においても世界標準化が進んでいる。たとえば大学の世界ランキングやOECD生徒の学習到達度調査(PISA)は世界の教育達成状況 を共通の基準で測る試みであり、各国は改善という名のもとに21世紀型能力や非認知能力といったキータームを教育政策に導入し、共通の基準に追随せざるを得ない状況になっている。多様化と世界標準化が進む現代世界において、世界の分断や相互不信感を乗り越える個や、個と世界のつながりを今後、どのように問い直せばよいだろうか。答えを出すことが容易でない局面のなかで、単純な是非論や二項対立の 問題の立て方は現代の複雑な状況を理解するには充分ではない。本シンポジウムでは、絡まりあったこれまでの議論や二項対立的な議論からいったん距離をとり、あるいは論点をずらして、あえて素朴で単純な問いとして、個のあり方や個と世界のつながりを問い直したい。そのための一つの方法として、多様な国・地域の歴史的・文化的文脈のなかで育まれてきた思想を取り上げ、コンヴィヴィアリティ(自立共生)という概念を一つの参照軸として、個のあり方や個と世界のつながり、あるいは個と個の新たな関係性を考える軸を探究したい。本シンポジウムで取り上げる思想が生まれた地域や文脈はそれぞれ異なっており、アプローチも視点も異なる。それゆえ、これらの思想を交差させることにより、個のあり方、個と世界のつながりを再考し、さらに世界の多様な地 域を参照しつつ、教育のあり方を探究する比較教育学の今後の方向性を考えたい。

 

【日時】2024年6月30日(日) 15:00~17:00

【開催形式】名古屋大学 アジア法交流館(対面)・Zoomウェビナー(オンライン)

【参加費】公開シンポジウムは無料。どなたでもご参加いただけます。

【申込】オンラインでご参加の方は申し込み必須。2024年6月25日(火)締切

下記の申込フォームよりお申し込みください。
https://forms.gle/vYwTr3Bic89CXmN27

【Webサイト】日本比較教育学会第60回大会プログラム
http://www.gakkai.ne.jp/jces/taikai/60/programme.html

学会へのご参加は参加登録(有料)が必要となりますが、公開シンポジウムへは無料にてご参加いただけます。